今回はCWEBについて大きな進展がありましたので、取り上げていきたいと思います。
直近の高値から大きく下落し、償還リスクも噂されていたCWEBですが、今回は久々の良材料が舞い込みました。
この記事では中国株のリスクの後退や今後の株価見通し、中国経済について解説していきます。
CWEBの買い時到来か?中国が規制緩和を示唆
CWEBとは何か?
CWEBの正式名称は「Direxion デイリー CSI中国インターネット指 数株 ブル 2倍 ETF」です。
ファンドの日次基準価額 の値動きがCSIオーバーシーズ・チャイナ・ インターネット指数のパフォーマンスの2倍 となる投資成果を目指しているファンドです。
中国のハイテク株に投資ができるということで注目が集まっていたのですが、中国株の米国上場廃止への懸念や中国ネット大手への規制強化により最高値から95%も下落し、長い間低迷が続いています。
しかし、今回中国がネット大手への規制を緩和するとの発表があり、中国ネット大手への規制緩和が近いうち行われるとの見方が拡がっています。
105ドルから一時4ドル台と大きく下げる結果となったぞ!
中国ネット大手への規制緩和を発表
習近平指導部は、アリババやテンセントなどの中国ネット大手に対する統制強化を転換すると発表しました。
中国のネット大手に対する統制強化とは、指導部がアリババ傘下のアントグループの上場を強制停止したことが有名です。
さらにその後、2021年6月、米ニューヨーク証券市場に上場を果たしたライドシェア大手「滴滴(ディディ)」が、上場してから2日後に事実上の営業停止処分を受けました。そして昨年の12月に滴滴は上場廃止し、香港市場への再上場を目指すことになりました。
さらに2021年はアリババやテンセントを始めとする多くのテック企業に独占禁止法違反による巨額罰金が科せられ、中国に介在するカントリーリスクが改めて浮き彫りになってしましました。
しかし、ここにきて中国が新規株式公開(IPO)で政府の証券当局による上場審査・許可を全面的に廃止し、日米など先進国と同様、申請の可否判断を各証券取引所が担う仕組みに統一すると発表しました。
このような規制緩和を行うで新興企業の上場を促すことで中国の課題である経済の質向上につなげる意図があるものと思われますが、裏の意図としては主に11月に行われる5年に一度の共産党大会を視野に入れているものとも考えられます。
中国の米国上場廃止リスクも同時に後退
ネット規制のほかに中国は上場廃止リスクも同時に抱えていました。
上場廃止リスクとは、米国に上場している中国株をめぐって、米当局の監査を拒んでいることを理由に米国に上場している中国株の全てが上場廃止になる可能性が高まっていました。
これに対し、中国は4月2日に海外上場に関する機密保持規則の改正を提案し、現地検査は主に中国の規制当局が実施すべきだとする要件を規則修正案で削除したことを明らかにしました。
これを受けて、中国企業の米国上場廃止への懸念が和らぎました。
CWEBが株式併合を発表、償還リスクが後退
CWEBは株式併合を発表しました。
株式併合とは、既に発行されている株式数を減らすために、複数の株式を1株に統合することを指します。
株数を減らすといっても、資産価値には影響はありません。
株数が減っても会社の価値は変わらないので、基本的には、併合比率により1株当たりの価格が修正されます。
なぜ株式併合をするのか?
ではなぜCWEBは株式併合を発表したのかというと、それは管理コストの削減が考えられます。
基本的に株式併合は管理コストの削減や少数株主の排除のために行われ、業績が悪い企業が行うことが多いです。
好調であれば管理コストを削減しなくとも株価は上昇しますが、業績が良くないと株価は下落し続けるからです。
そこで、企業側はもちろん何か手を打たないといけませんから、管理コスト削減のために株式併合をするというわけです。
CWEBにとって株式併合はメリットなのか?
私はデメリットももちろんありますが、メリットの方が大きいと考えています。
一つは運営会社である「Direction社」が運用を継続する方針を示したことにあります。
CWEBでかなり懸念されていたことは償還リスクでした。
一般的にテーマ型の投資信託には償還日が設定されていて、インデックス型の投資信託は無期限となっている場合が多くなっています。
しかし、基準価額が小さくなりすぎた、運用資金が少なくなってしまった等が原因で繰り上げ償還されることがあります。
これは、いわゆる倒産と同じ扱いでその時点で損が発生していても強制的に損切りさせられるということです。
つまり償還リスクとは強制的に損切りさせられることで、CWEBを持ち続けたくても、持ち続けられないということです。
しかし、株式併合することによって基準価格が上昇する為、繰り上げ償還は行わずに引き続き運用していくという方針を見せたと考えていいでしょう。
しかし、一般的に株式併合後は株価は下落することが多いので、償還リスク後退以外はいい要素とはいえないでしょう。
これまで問題になっていた3つのリスクへの懸念が後退
これにより、中国株の売り材料となっていた「規制強化」と「上場廃止」、「繰り上げ償還」のリスクが小さくなったといえます。
11月に向けて、上記2つへの対応が明確になってくることが予想され、これらの材料が中国株への好材料となる方向に向かうのであれば、投資マネーは再び中国株に流入する可能性があります。
すぐに暴騰とはいかないが、再度株価が持ち直す可能性があるということだな!
中国経済のリセッションへの懸念
先ほど説明したように、中国株への規制緩和や米国株式市場への上場廃止リスク後退から中国株は大きく反発することが期待される中で、中国の経済悪化への懸念が拡がっています。
「ゼロコロナ政策」が生む経済悪化
中国経済は、政府が新型コロナウイルスの感染を抑え込む「ゼロコロナ政策」を強化したことにより経済活動が急速に縮小していて、リセッション入りする可能性が高まりました。
例えば、3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.1と、2020年2月以来の約2年ぶりの低水準を記録しました。
また、3月、4月とPMIが50を下回ったことから、中国は近い将来リセッション入りするのではという見解が広がりました。
これは中国政府のゼロコロナ政策が原因です。ゼロコロナ政策によって上海や深圳がロックダウンしたことにより、工場停止や個人消費が大きく落ち込むことなりました。
北京でも同様に中国の大型連休が終わる5月4日までレストランでの店内飲食が禁止され、旅行者数が8割減とサービス業に大きな打撃を与えることになりました。
モルガン・スタンレーもコロナ感染を一切容認しない「ゼロコロナ政策」を中国が「厳守」しているとして、今年の中国成長率見通しを5.1%から4.6%に引き下げるなど、世界が中国経済に悲観的になっています。
もちろん上海ディズニーも休園を余儀なくされているぞ…!
サプライチェーンの混乱への懸念
中国のロックダウンは世界のサプライチェーンにも悪影響が及ぶと考えられています。
特に上海は国際金融センターであるとともに、多国籍企業の多くが中国本社と工場を置いている場所であり、米電気自動車(EV)大手テスラは3月28日に、上海工場の生産を停止したと伝えられました。
世界のサプライチェーンは電子機器だけでなく、肥料から医薬品に至るまで、上海からの輸入に大きく依存しており、上海のロックダウンは世界の様々なところで大きな影響を与えると思われます。
また、上海市のGDPは中国全体の4%を占めており、上海の経済活動が停滞することはそのまま中国経済の悪化につながります。
特に大きく懸念されているのは食料供給です。
既にウクライナ戦争により価格高騰しており、中国のゼロコロナ政策は中国での穀物の作付けの大きな障害となっています。
こうしたことから、中国経済だけでなく世界経済への影響が懸念されています。
世界の工場と言われた中国が世界に与える影響は恐ろしいな…
CWEBは買い時か?株価分析と今後の見通し
このチャートはCWEBの日足チャートになります。中国のネット規制緩和が発表されて以降、CWEBは再度注目を集め始めています。
赤枠内の出来高を見るとわかるように、1日にかなりの量が取引されていることがわかります。
まだまだ上値は重い展開が続くと思いますが、中国株は11月に向けて上昇トレンドに転換する可能性があります。
株価というのは、景気後退局面を迎えていて、誰もが悲観的になっている中で底打ちする傾向があります。
中国のリセッション入りや中国ネット大手への規制緩和や上場廃止、繰り上げ償還リスクが和らいだことを考えると、中国株は底打ちする可能性があります。
とりわけ、CWEBは6ドルと安値が続いていますので、中国の将来の成長を信じるのであればポートフォリオの一部に組み込んでもいいかもしれません。
まとめ
今回はCWEBと中国経済について解説していきました。
中国経済がリセッション入りする可能性は依然として高いものの、中国企業にとって1番の足枷になっていた規制が緩和されることで、今後中国株が底打ちする可能性が高くなりました。
世界の工場と言われる中国の成長の一部を保有しておくのも、リスク分散としてはいいと思います。
↑気軽にポチッと
チキン兄さんのTwitterのフォローも忘れずにしてくれ!
コメント