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リセッションの前兆「長短金利差逆転」
過去10年間を見てみると、リセッションは10回起こっていて、その全てで長短金利差が逆転する現象が発生しています。
下の図は米10年債利回りと米2年債利回りのグラフで、このグラフの編みかけ部分がリセッション局面となります。
このグラフは0を下回った時が長短金利差の逆転を表しており、今回もその現象が発生していることを表しています。
いずれにしても、長短金利差が発生後にリセッション入りすることはほぼ確実ですから、現在長短金利差が逆転していることを理解し、過去のリセッション局面の株価の値動きから、今後の資産運用について決定するといいと思います。
長短金利の逆転とは
そもそも長短金利の逆転とは、長期金利と短期金利の金利が逆転することを意味します。
これは、通常長期金利の方が高い傾向になり、短期金利は低いものとして知られています。
しかし、今回のように短期金利が長期金利を上回ってしまう現象のことを長短金利の逆転と言います。
もっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
【今は買うな】連日上昇?見せかけの株式市場とその理由| 令和の教科書 | 経済・投資編 第26回
投資家の中では、3ヶ月、2年、10年の債権利回りで考えられることが多いです。
これは、3ヶ月債は今後3ヶ月の政策金利に左右され、2年は今後2年間の政策金利、10年債は今後10年といったように、政策金利の動向を図る指標としても使われるからです。
そして現在(4/3時点)の利回りは3ヶ月債は0.51%, 2年債は2.46%, 10年債は2.38%となっています。
これは、多くの投資家たちが、3ヶ月後には政策金利が0.51%前後になることを予想し、2年後には2.46%になることを予想し、10年後には2.38%になると予想していることを意味します。
FOMCでパウエル議長がインフレ圧力が強まった場合は、利上げペースを上げることが示唆されており、1月時点では0.25%の利上げが4回と予想されていましたが、今月に入ってからは、年9回に修正されるなど、インフレ圧力が高まっていることがわかります。
インフレが高止まりする場合はさらに利上げのペースが加速する可能性もありますから、2年債利回りはさらに上昇する可能性があります。
ではなぜ10年債利回りは逆に低下していくのかというと、これは利上げが加速することにより、リセッションのリスクが上がることを意味しています。
リセッションに突入すると、利下げを行い経済を活性化せざるを得ませんから、反対に10年債利回りは下がるということです。
なぜ長短金利の逆転がリセッションに繋がるのか
ではなぜ長短金利の逆転がリセッションのサインになるのかというと、それは銀行が長期にわたってお金を貸したがらなくなるからです。
基本的には、短い期間の金利の方が、長い期間の金利より低くなっています。
長い期間お金を貸している方がリスクが高いため、その分金利が高くなるわけです。この長短金利差を利用して、銀行はビジネスをしています。
経済の心臓である銀行が苦しくなるだけでなく、長期でお金を貸すメリットがなくなるため貸し渋り、経済のお金周りが悪くなってしまいます。
これが長短金利逆転したのちに、経済が停滞すると言われる理由の一つです。
直近では、1990年後半からの日本のバブル崩壊とも重なる世界景気後退局面、2001年前半からのITバブル崩壊局面、2007年後半からのリーマンショック局面になります。
大きな景気後退局面の約1年半前に長短金利差の逆転が発生しています。
このことから、今回の長短金利差逆転から1年半〜2年後にリセッションをすることを考えると、早くとも2023年の夏頃にリセッション入り考えられます。
今後の株価はどうなるのか
長短金利差の逆転が発生するとすぐに株価は下落していくのかというと、そうではありません。
過去の長短金利差の逆転を見てみると下記の通りになります。
長短金利差の逆転 | ピーク | 期間 |
1988/12/1 | 1990/7/1 | 1年7ヶ月後 |
2000/2/1 | 2001/3/1 | 11ヶ月後 |
2006/2/1 | 2007/12/1 | 1年10ヶ月後 |
この表を見るとわかるように、長短金利差の逆転が生じてから、直ちにリセッションが起こるわけではない事がわかります。
つまり、全ての局面で長短金利差の逆転後も1年から2年間かけて、株価は上昇していき、ピークをつけてから下落局面に入っていくことがわかります。
このことから、逆転したからといってすぐに売るのではなく、ピークを確認してから売りに行った方がいいと思います。
つまり2023年の間は最高値を更新することも考えられますから、今は売り時ではないでしょう。
まとめ
今回は長短金利差の逆転とその後の株価推移について説明していきました。
株価の分析は過去から学ぶことが定石ですから、今後も市場の動きを見て判断していくべきでしょう。
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