今回は米国株が軒並み下落する中で、好決算をあげ米国株に新しい風を吹かした「VISA」の決算内容と財務状況について見ていきます。
ネットフリックスやGoogleなどのコロナ以降の株式市場を引っ張ってきた大手グロース株が決算で失敗する中で,VISAはどのような決算をあげたのかを見ていきましょう。
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VISAの主な決算内容
VISAの主な決算内容は下記の通りです。
私はこの決算内容を見て驚きました。米国が現在不況と言われる中で、1年間で20%以上の成長を見せているというのはあのGoogleと同じ成長率になります。
主要事業の詳細
VISAの主要な事業の前年同期比は下記の通りになります。
このことからわかるのは、パンデミックの制限が緩和され、コロナの感染者数の減少やワクチンの普及により、世界中でより多くの人々が旅行や買い物をするようになったため、個人消費の回復に支えられ収益の上昇につながったということです。
競合であるアメリカンエクスプレスも同様の傾向が見られており、コロナで落ち込んだ需要や個人消費は完全に回復しつつあるように思えます。
VISAの貸借対照表
次に貸借対照表について見てきましょう。
現金の比率は25%と大幅に減っています。
これはやはり持株分の損失の計上が大きくなっていることで、結果的に資産が減りました。
ここで再度Googleの強さを感じました。Googleの成長性とそれに伴う現金比率の増加、負債よりも現金比率が高いことによる財務健全性などを含めるとGoogleは今後もかなりの成長が見込めると思います。
その一方でVISAは少々現金ポジションの上昇幅が成長率にあってないように思えます。
基本的に私は流動比率を見て、企業が健全かどうかを判断します。
流動比率とは流動資産から流動負債を割ったもので、1未満であると企業は健全でないと言われます。一般的に業界よっても違いますが流動比率が1.2を超えると短期的な資金繰りに困らないと言われています。
VISAの流動比率は1.28であり、一般的な企業よりは健全と言えますが、成長とともに現金が増加していないことを考えるとやや不安は残ります。
20%以上の成長は素晴らしいですが、財務健全性という観点からは少し物足りない結果だと思います。
VISAの今後の課題
VISAの直近の課題は個人消費とヨーロッパ情勢だと考えています。
ロシアから撤退したことにより、VISAの収益の低下はある程度見込むとは発表していたものの、ウクライナ情勢がどこまでヨーロッパの消費意欲や経済に影響するかはまだわかりません。
世界的に普及され、使用されているVISAブランドこその悩みとも言えるでしょう。
VISAの株価分析
上の図はVISAの株価チャートになります。
決算を発表した後にVISAの株価は時間外で急上昇し、214ドルまで上昇しました。
需要の冷え込みが懸念された中で、20%以上の成長を見せたVISAの決算に好感を持った投資家が多くいたのだと思います。
週足チャート
次に週足チャートについて見ていきます。
VISAの好決算を受けたとはいえ、年初来からの金融引き締めやウクライナ情勢の長期化を受け、下げトレンドに転換していることがわかります。
現在ピンク色の100日移動平均線を越え、50日移動平均線のある222ドルをターゲットに上昇していっています。
ここを越えれば、230ドル、年初来の高値250ドルと一段と上昇する可能性が高いでしょう。
しかし、現在の米国市場全体の下げトレンドの中で上昇トレンドに転換するのは厳しいと思います。
もし仮に抵抗線を越えられず、下げトレンド入りをするようであれば、再び200ドルを下回る可能性もあります。
現在の相場は決して強気で買い迎える相場ではなく、ボラティリティが激しい相場ということは覚えておきましょう。
VISAは買い時か?現在は割安なのか?
私は正直VISAはやや割高かこの価格が適切であると感じています。
成長性や収益性を考慮すると、非常に魅力的な企業であることには変わりありません。
また、ビジネス形態も今後もキャッシュレス化に伴い拡大していくことは間違い無いと思います。
しかし、Googleなどは成長とともに現金も増加していっています。つまり、非常に利益率の高いビジネスであり、今後も現金比率は上がっていくでしょう。
現金を持っていると、借入金を返せる他に新しいビジネスを自前のお金でできるためリスクが小さくなるというメリットがあります。
私はVISAの成長性と収益性は他の企業と比較しても素晴らしいものであると思いますが、Googleなどと同様の評価はしていません。
まとめ
今回は好決算をあげ、下げトレンドであった米国株式に新しい風を吹かせたVISAの決算について考察していきました。
VISAの成長は今後も期待できると思いますし、私はポートフォリオの一部であれば投資余地はあると思います。
コロナでの規制が緩和される中で、次の決算でVISAはどのような結果を上げるのかが今から楽しみです。
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