9日に円相場は1ドル=131円台前半まで値下がりして、20年ぶりの円安水準を更新しました。
20年ぶりの水準ということもあり、市場の反応はやや悲観的です。
「日本円はこれからも価値を下げ続ける」といった言葉や「円高と円安は一定のサイクルを繰り返す」といった説を投げかける方もいます。
円安とか円高とかよくわからないし、このまま買い続けていいのか不安…
このような悩みを抱えている投資家も多いと思います。
この記事は次のような方向けの記事になります。
現在の為替相場を知ろう!
この図を見るとわかるように、現在は過去最高水準の円安が進んでいます。
いまいちピンとこない…
では現在の水準に一本平行線を引いてみましょう。
これをみるとより明らかになります。
わかりやすい!本当に20年間130円台まできてなかったんだね!
2015年の大規模金融緩和
では本題に入る前に、日本の為替相場の歴史を学んでいきましょう。
2013年4月以降、日本銀行の黒田総裁はデフレ脱却を目指して強力な金融緩和策=黒田バズーカを3回発動してきました。
黒田バズーカとは、2013年4月以降、黒田総裁率いる日銀が、デフレ脱却や景気刺激のため、3回にわたって実施した金融緩和策のことです。
これが結果的に爆発的な円安・株高をもたらしたため「バズーカ」と称されました。
具体的には、2013年4月に「量的・質的金融緩和」、2014年10月に「量的・質的金融緩和の拡大」、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」です。
これがアベノミクスといわれる経済活性化政策の柱とも言われているぞ!
黒田ラインの誕生
この黒田バズーカによってかつてないほどの勢いで円安が続いていたことがあり、今回と同様に「1ドル130円」にいくのでは?と市場で心配の声が上がっていました。
そこで、今後の為替相場を決定づけるあの言葉が黒田総裁から発言されました。
『ここからさらに円安に振れることは、普通に考えるとなかなかありそうにない』
この一言から、円安基調であった為替相場が一転して円高基調へと転換しました。
これを機に円安が進む度にこう囁かれるようになりました。
「1ドル125円を超えたら黒田が動く」
当時の市場参加者の声
過去の相場でも「黒田ライン」は強く意識されている。
どれだけ円安が進んでも125円で止まるだろう。
125円の水準で黒田総裁が発言したのには意味がある。
この水準を超えるということは、相対的に日本が弱くなっていることを意味することになる。
つまり、超えられないのではなく、超えてはいけない壁なのである。
いやなんかもう当時はすごかったっすよ。
当時の状況からもわかるように、「黒田ライン」というのは明確に意識されていたことがわかります。
黒田ライン突破も日銀動かず
では今回の円安ではどうだったのでしょうか?
もちろん「黒田ライン」は明確に意識されていました。
しかし、125円に差し掛かったときに日銀は「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と発言し、米長期金利の上昇を背景にじわじわ円安に向かっていたドル円相場は、一気に125円70銭から126円台前半に駆け上がり2002年以来の円安水準を付けることになります。
これまで125円の円安は許容できないといわれていた神話が崩れ去った瞬間でした。これを機に円安はますます進み、1ドル130円台まで進むことになります。
変わる投資家の心理状態
ここまでくると投資家の心理も大きく揺れ動き始めました。
「日銀は円安を止める気はない」
黒田総裁が次にどういった発言に出るのか。それ次第では際限なく円安は進み続けるのではないか?といった噂が流れ、日本人投資家心理は徐々に悪化していきます。
円安時に投資をしてもいいのか?
これまで円安は日本人投資家心理に悪影響といってきましたが、なぜでしょうか?
円安時に投資をするのは良くないと言われているのかについて知るには「為替差損」について理解する必要があります。
為替差損とは?
為替差損とは為替レートの変動により生じた損失のことです。
たとえば、米ドルを1ドル=100円のときに購入した後、為替レートが円安方向に動いて1ドル=120円となった場合、購入していたドルを円に交換すれば1ドルにつき20円の利益を得ることになり、これが為替差益となります。
逆に、為替レートが円高に進んで1ドル=80円となった場合は1ドルにつき20円の損失をこうむることになり、これが為替差損となります。
日本人投資家の困惑
日本で投資をしている人の中には、円安が進む中で投資をしてしまうと、将来円高に傾いた時に為替差損分、損をしてしまうから今は投資をしない方がいいのでは?と思う方がいます。
上の図は青戦円建てS&P500「SPDR S&P500 ETF Trsut」と緑線のドル建てS&P500の比較チャートになります。
これをみるとわかるように、円建てのものとドル建てのものでは20%以上リターンに差があります。
これは先ほど説明した為替による影響です。これをみても明らかなように為替の影響によってS&P500は年初来からのひどい暴落を防げているのです。
円建てS&P500の方がいいのか?
円建ての方が暴落していないから、円建てのS&P500のほうがいいってこと?
こういう質問をよくみかけますが、日本人投資家にとって為替効果で基準価格の減少を防げているのは、あまりポジティブに働きません。
なぜなら、現在持っている資産の価値は増加するものの、これから購入する米国株は円安によって悪い影響を受けるということです。
例えば1ドル100円のときには10000円の株が100株買えたのに、1ドル120円になると83株しか買えないということです。
つまり、同じ金額を日本円で払っても買える株数が少なくなってしまうということです。
なんだよ!せっかく投資を始めたのに…
円安の時に米国株は投資すべき?
では円安時に米国株に投資すべきかどうかというと「投資し続けるべき」です。
たしかに、資産形成機の時には円高になっていたほうが有利であることには変わりありません。
しかし、米国株の成長性を信じるのであれば、購入しないことは大きな機会損失になります。
上の図はS&P500のチャートになりますが、右肩上がりで推移していることがわかります。
続いてドル円チャートも見ていきましょう。
何かに気づきませんか?
みてわかるように、為替というのは多少の上下幅はあるものの、右肩上がりに上昇していくものでもなく、右肩下がり下落していくものでもないのです。
そして、為替の変動は誰にもわからないということです。
実際には政治などが絡んでいるので、大幅な上昇がないとも言えますが…ここは複雑なのでまた今度説明します。
ここで今の円安をどう考えるかです。
右肩上がりに上がっていくと信じられている米国株を円高に偏るまで、購入を控えるのか。為替差損は過度に気にせずに購入を続けるか。
皆さんはどちらを選びますか?
私は、米国株を購入しない方の機会損失の方が大きいと考えます。
だからこそ一時的な円安で購入を控えるというのはおすすめしません。
投資初心者のうちは為替や株価にまどわされずに、コツコツ積み立てていきましょう!
投資後に円高が25%進行しても、株価が2倍になれば資産は1.5倍だ!
まとめ
今回は円安が投資に与える影響について考えていきました。
資産形成段階では円高で、資産を取り崩す時には円安がベストですね。
しかし、そのようなことは狙って起こせるものではありません。過度に気にせずにコツコツと積み立てていくことが大事です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!また読みにきてください!
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