レバレッジ商品で絶対にやってはいけないこと レバレッジ商品の長期保有は本当に正しい? | 令和の教科書 | 経済・投資編 #69

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今回はレバレッジ商品のリスクについて解説していきます。

最近Twitterでもレバレッジ商品がトレンド入りするなどで、話題になっています。

私はレバレッジ商品を短期的に運用する資産として持っていますが、レバレッジ商品を長期保有は正しいのでしょうか?

今回はレバレッジ商品のリスクと将来性について解説していきます。

代表的なレバレッジ商品の値動き

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早速代表的なレバレッジ商品の値動きをみていきましょう。

TQQQ

TQQQの正式名称は「PROSHARES ULTRAPRO QQQ」で、TQQQはNASDAQ100指数に3倍のレバレッジをかけたETFです。

上の図はTQQQの直近の値動きになりますが、100日移動平均線を割り込み、未だ底打ちの兆しを見せておりません。

最高値の91ドルから36ドルと60%の暴落を見せており、厳しい展開が続いております。

NASDAQ100の成長を支えていたGAFAMの低迷が予想される中で上昇トレンドに変わることは考えづらいと思います。

TECL

TECLは「Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF(Direxion Daily Technology Bull 3X Shares)」のことで、アメリカの情報技術セクターに連動するレバレッジ3倍のETFです。

最高値の91ドルから41ドルと55%の暴落を見せており、厳しい展開が続いております。

TECLは主にアップルやマイクロソフトで30%近くを占めているため、これらの業績が大きく株価に関わっています。

Appleとマイクロソフトの決算はよかったものの、上値の重い展開が続いていることから今後もTECLの株価は低迷を続けるでしょう。

SOXL

SOXLの正式名称は「Direxion デイリー 半導体株 ブル 3倍 ETF(Direxion Daily Semiconductors Bull 3x Shares)」であり、ICEセミコンダクターズ・インデックスに3倍のレバレッジをかけたETFです。

SOXLも最高値の74ドルから21ドルと71%の暴落を見せており、半導体大手のエヌビディアが暴落していることなども踏まえると厳しい展開が続くと思います。

また、半導体指数は景気敏感指数と言われており、アメリカの不況入りが懸念される中で上昇していくのは難しいかと思います。

WEBL

WEBLの正式名称は「Direxion デイリー・ダウ・ジョーンズ・インターネット・ブル3倍ETF(Direxion Daily Dow Jones Internet Bull 3X Shares)」であり、設定日が2019年11月7日の日が浅いETFとなっています。

ダウ・ジョーンズインターネットコンポジット指数に3倍のレバレッジをかけたETFとなっております。

最高値の97ドルから16ドルと83%の暴落を見せており、厳しい展開が続いております。

主にAmazonやMeta、Google、Netflix、PayPalなどで構成されており、Meta以外の決算が悪かったことを考えると、今後も厳しい展開が続くと考えられます。

レバレッジ商品の暴落率
  • TQQQは最高値の91ドルから36ドルと60%の暴落
  • TECLは最高値の91ドルから41ドルと55%の暴落
  • SOXLは最高値の74ドルから21ドルと71%の暴落
  • WEBLは最高値の97ドルから16ドルと83%の暴落

レバレッジ商品のリスク

今回の暴落でもわかるように米国株式の下落がまだ序盤にもかかわらずレバレッジ商品は半値から80%の暴落をしております。

また、株価の暴落がレバレッジ商品のリスクなのはもちろんですが、レバレッジ商品は上昇相場にしか強くないということを覚えておきましょう。

1.指数・指標の価格が、1日目「下落」、2日目「上昇」した場合

表のように1日目に-20%、2日目に+20%の値動きをした場合を考えて見ましょう。

 基準日1日目2日目
通常0%-20%20%
レバレッジ3倍0%-60%60%
基準価格(通常)1008096
基準価格(レバレッジ3倍)1004064

その時の値動きは下の図のようになります。

このようにレバレッジ3倍の基準価格は通常のものより戻りが遅いことがわかります。

2.指数・指標の価格が、1日目「上昇」、2日目「下落」した場合

表のように1日目に+20%、2日目に-20%の値動きをした場合を考えて見ましょう。

 基準日1日目2日目
通常0%20%-20%
レバレッジ3倍0%60%-60%
基準価格(通常)10012096
基準価格(レバレッジ3倍)10016064

その時の値動きは下の図のようになります。

この時も同様に同じ割合で上昇、下降を繰り返す場合は基準価格は逓減していきます。

3.指数・指標の価格が、1日目「下落」、2日目「下落」した場合

表のように1日目に-20%、2日目に-20%の値動きをした場合を考えて見ましょう。

 基準日1日目2日目
通常0%-20%-20%
レバレッジ3倍0%-60%-60%
基準価格(通常)1008064
基準価格(レバレッジ3倍)1004016

その時の値動きは下の図のようになります。

もちろんこれはレバレッジ3倍の方が下降の幅は大きくなります。

現在の相場と近いものがありますね。

4.指数・指標の価格が、1日目「上昇」、2日目「上昇」した場合

表のように1日目に+20%、2日目に+20%の値動きをした場合を考えて見ましょう。

 基準日1日目2日目
通常0%20%20%
レバレッジ3倍0%60%60%
基準価格(通常)100120144
基準価格(レバレッジ3倍)100160256

その時の値動きは下の図のようになります。

このように上昇トレンドの時はレバレッジをかけた方がリターンは大きくなります。

コロナ以降の株価は右肩上がりで推移していたので、レバレッジをかけた方が儲かると思う方が続出したというわけです。

なぜボックス相場に弱いのか?

ではなぜ同じ増減幅でも、基準価格が減ってしまうのかというとそれは複利の力が働くからです。

インデックス投資の強みは複利の力が働くことによって、雪だるま式に資産を増大させることですがレバレッジ商品はそれがデメリットにもなり得ます。

つまり、資産が増大すれば増大した分だけ下落時に減る割合も増えるということです。

結局1,2,3のように同じ分だけ上昇下落を繰り返しても基準価格は上がることはないということです。

レバレッジ無のインデックス投資もボックス相場に弱い?

少し勘の良い方ならレバレッジ無の商品も結局基準価格が減っているのでは?と思う方もいるでしょう。

勘のいいガキは嫌いだよ - YouTube

…おっしゃる通りです。

では上昇時に強いレバレッジ有りの方が結局いいのでは?と思う人もいると思います。

ここで投資の根幹に戻って見ましょう。

投資というのは富裕層が有利なゲームのようなものです。資産が多ければ多いほどそこに働く複利の力も多くなり、資産は爆発的に増大していきます。

もちろんあなたが1000万円を持っていれば、500万円の方よりも資産を大きく伸ばせますし、2000万円あるのであれば資産をより加速度的に伸ばすことが可能です。

ここで再度話を戻しましょう。

 基準日1日目2日目3日目4日目5日目6日目7日目
通常0%-20%-20%20%20%20%20%20%
レバレッジ3倍0%-60%-60%60%60%60%60%60%
基準価格(通常)100806476.892.16110.592132.7104159.25248
基準価格(レバレッジ3倍)100401625.640.9665.536104.8576167.77216

これは2日間の下落の後、上昇トレンドに転換した時のシミュレーションとなります。

ここでわかるのはレバレッジ有りの商品は戻りが異常なほどに遅くなっているということです。

図にするとわかりやすいと思いますが、資産が減少した分、資産にかかる複利の力は弱くなります。

あなたが1000万円投資していたとしたら、通常の商品は640万円の基準価格になっていますが、レバレッジ有の場合は160万円まで下がります。

つまり、レバレッジ無の商品は上昇局面でこそレバレッジ有りの商品に劣るものの、資産の減少スピードもレバレッジ有りのものよりも緩やかになるということです。

投資という資産の大きさが全てのゲームでは資産の減少は全てにおいてマイナスに働くということを覚えておきましょう。

レバレッジ商品のリスク
  • レバレッジ商品は上昇局面でしか強くない
  • ボックス相場では逓減性により、基準価格が低下する
  • 投資において資産の減少は最大のリスク

下落局面で絶対にやってはいけないこと

止まるの無料写真

最後にこれらを踏まえた上で、下落局面で絶対にやってはいけないことを考えていきましょう。

それは、レバレッジ商品が想像以上の下げを見せた時に根拠もなく買い時だと判断することです。

最近のレバレッジ投資家の間では「今が買い時」という言葉で溢れています。しかし、それは幻想に過ぎないと思います。

過去の暴落相場の値動き

S&P500週足

確かに、コロナ以降の株価はS&P500の週足チャートを見るとわかるように、1ヶ月かけて3393ドルから2191ドルと35%の下落のした後に急反発しました。(赤枠内参照)

つまり、この時から投資を始めた人ほど急落局面で局面で買い向かったほうが利益を得られると思っている人が多くいると思います。

しかし、コロナ以降のように急落後に急反発する相場は多くないという事実も同時に知っておくべきだと思います。

金融危機

例えば2007年〜2008年の金融危機では1年半かけて1576ドルから667ドルと58%下落しました。

さらに最高値更新までは2007年10月から2013年4月までと66ヶ月かかりました。

つまり、最高値更新まで5年6ヶ月も待つ必要があったのです。

ドットコムバブル

次に2000年に起きたドットコムバブルの崩壊です。

こちらも同様に1553ドルから769ドルまで31ヶ月かけて51%下げる相場となりました。

そこから最高値更新までは2000年3月から2007年7月と88ヶ月もかかりました。

つまり、この時も7年4ヶ月もS&P500は最高値を更新できずに、米国株式はおしまいとまで言われていました。

コロナ以降は最大規模の金融緩和を追い風に短期的に大幅に暴落したのち最高値を更新し続けました。

その相場しか知らない投資家は「米国株式は暴落しても必ず反発する」や「暴落局面こそ買い時」と考えている人も多いと思いますが、2年以上も下落し続ける場合もあることを知っておくべきでしょう。

現在の相場で全力買いは危険

では「一旦底打ちを確認した後」「株価が大幅に安くなっている」今が全力で買い向かう時なのでは?と思う方も多いと思いますが、それは間違っています。

ドットコムバブルでは暴落していた31カ月間の間に何度も上昇トレンドに転換したのちに再度暴落するということを繰り返しています。

反発した局面で買い向かってしまうと、その後の暴落で含み損を抱えるほか、本当の底打ち場面で買い向かう現金がなくなってしまいます。

つまり、ドットコムバブルや金融危機を経験した投資家ほど、コロナのような短期的な暴落局面では買い向かえなかったと思います。

やはり、底がどこなのかをわかる投資家は存在しないことを考えると、暴落局面で全力で買うといった行動はリスクが大きいです。

ましてやレバレッジをかけた商品を暴落場面で大量買いをして、保有しておくのはかなり危険です。

長期的に見れば右肩上がりなのは、あくまでも一部の商品であって全ての商品には当てはまりません。

本当にその商品が全力で買い向かうべき商品なのか?どういった理由で右肩上がりの成長が期待できるのか?ということを理解した上で投資をするように心がけましょう。

現在の相場は危険なのか?
  • 過去の暴落を見ても、最高値更新までに5年以上もかかる場合がある
  • 現在の価格が底値と判断はできない

まとめ

今回はレバレッジ商品の危険性や過去の暴落局面について説明していきました。

レバレッジ商品は右肩上がりでは強い上昇を期待できるものの、ボックス相場や下落局面では非常に弱い商品となります。

暴落は長期にわたって続く可能性があることを考えると、現在の暴落で買い時と判断するのは危険かと思います。

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